JAN/FEB '01
 創刊から5年目に突入したという区切りの号なのか、いつもとは趣向の違った表紙が冴えています。主な特集は、UKの輪界関係者(ちょっと違う?)が選ぶ「ベストライダー・25人」、選者となった人はライダーの選択理由まで書かなければならないし、これは考えるだけでも大変だ。スティーブが選んだ、かの有名な“アムール”への理由が「(NOT)」となっていて、非常に意味深です。それにしても25号だから25人選べという当たりが少々強引というか何というか。

 同時にニコへのインタビューも掲載。オウンチームで転戦した前年を振り返って、彼のトレーニング方法、WCコースの感想、機材への考え、引退について語っています。ロード、BMX、モトクロッサーを組み合わせたトレーニングの有効性を語る内容もさることながら、後半部分で語られているDHと機材の関係については考えされます。「近年、高価すぎる機材がDHを始める時のハードルになっていないだろうか?」というdirtの問いに対して、彼は「カテゴリーを入門とプロに分類し、使用機材をわけてレースを行う時期に着ているのでは?」と答えています。確かに…

 余談ながら、“Cheddar 2000”というローカルレースの記事に興味深い物をみつけました。ロブ・キッチンのデュアルバイク(オレンジ)には、後にグローバルで使われたアイディアが既に使われていて、元ネタ発見か?

MAR/APR '01
 前回の“Road Trip”はUSAが舞台だっだけど、今回の「」はUK内のダートジャンプ、BMX、フリーライド等の事情をローカルライダーと一緒に巡ると言う趣向。最初にある写真は、おそらく公共施設(公園)の注意書きなのだろうけど「No Skateboarding, No Cycling (No Life !)」と、( )内が後から落書きされていたりして、あちらでもこの手の趣味を楽しむは苦労している様子がうかがえて、どこの国でも似たような状況というか何というか…。面白かったのはStocktonのスケートパークには屋内ダートジャンプ場が有ったこと、あちらのライダーというと悪天候も関係無しに走りまくっているという印象を持っていたが、やっぱり濡れずに走れるのは「seriously good」のようです。

 ライダーへのインタビューは、上記の取材中に行ったロブ・ワーナーと前年の世界選手権でデュアルのタイトルを獲ったウェド・ブーツの2つが掲載されています。ロブのインタビューは、これまでも何回か行われてきたので、話の内容は最近のレースについてや昔やっていたBTRのこと等が目新しいネタです、ウェドのインタビューは各誌で書かれているように誠実な人柄がにじみ出ていて良い記事です、契約金やタイトルを獲ったときのボーナス支給額まで語っているから「成績=お金」というプロの世界が垣間見えます。

 全然関係ないけどパーツの広告を見ていたら、最初の方に掲載されているX-liteのシートクランプは、製品の完成度は別として、なかなか良いアイディアが使われていてナイス!

MAY/JUN '01
 今回のシーオッター特集は、今までみてきたレース・レポートのベスト! 改めて気付かされる事として、情報というか取材の密度がケタ違いに濃い。大会が始まる1週間前にカリフォルニア入りし、Royal Orangeチームと周辺トレイルやBMXトラックを訪問、つぎに工場見学と“一仕事”してから会場入りというのが大人です。肝心の大会取材もスコット・ボーモントのコメントを交えながら、様々な選手へもマメに取材を行って臨場感に溢れた内容。

 この大会の特徴として、従来からあるスラロームに加えて、お馴染みのMountain-Xも同時開催され、異様な盛り上がりをみせていたようです。もちろんMountain-Xの仕掛け人であるエリック・カーターへのインタビューも抜かりなく掲載されています。本格デビューしたGlobalの面々は順調に活躍して、メンバーのうちUKで活躍していたグレッグ・ミナーは当然としても、別ページで大きく取り上げられている17才のミック・ハナー、Cairns Mountain Bike Clubの秘蔵っ子として前年の世界選手権で活躍した彼が、いよいよWCに登場です。

 その他では“not made in Taiwan”と、刺激的なタイトルと共に紹介されている各社のハードテール特集が熱いです。近年、製作技術と人件費との兼ね合いから他国生産が当たり前となっており、UKでも同じらしい。ここでは「ちょっと見回せばプレミアムでハードコアなHTも有るぜ」と、関係者を交えて詳しく紹介。最終的な判断は読者にあるとはいえ、レポートがしっかりしているので参考になります。

JUL/AUG '01
 ついに!というべきか、Bike-Xが屋根付き会場でも行われるようになってしまいました。“BIKE 2001”というこの大会は、バーミンガム郊外の会場にトラックを設置し、ライダーはMTBとBMXの両方から招待、特にBMXからはデール・ホームズが参加して、MTB代表(?)のピートやスコット・ボーモントと熱い戦いが繰り広げられています。一方で、会場の盛り上がりが選手にも伝染し(ヒートアップか?)、乱闘騒ぎが起こってしまったらしい。編集段階でカットされてしまうところだけど、dirtでは下世話なゴシップとして扱うのではなく、真正面から取り上げている。掲載情報によると、ウィル・ロングデンがT-Boneアタックの被害者と加害者の立場から乱闘に絡んでいるとか…。

 この件に関しては、被害者であるデール・ホームズのインタビューが別ベージに掲載されています。アメリカを主な活動拠点とするデールに、マイク・ローズが「UK内の大会でこんな乱闘騒ぎが頻発するなんて、彼らには“男のエチケット”が足りないと思わないか?」と質問すると、「乱闘なんて、15〜20年前のBMXレースでは珍しくなかったよ。ただ、毎週顔を突き合わせていかなければならないわけだから、場の雰囲気が荒む前にすこし話し合えば済むことさ」と、BMXの各タイトルを持つデールらしいコメントが印象的でした。

 その他ペダル&シューズの紹介記事には、デュアル等で活躍する選手のコメントも付けられて親切です。全然関係ないけど、HT特集にあった「Curtis SX24」は格好いいな…。

SEPT/OCT '01
 { race issues }のタイトル通り、WC開幕から3連発分のレポートです。'02の停滞ぶりを考えると'01は「蝋燭が消える直前」風に輝いているのが、少々哀しい。“The Circus”が有名なので何処かで見たような写真も多いが、詳しいレポートはdirt独自のものでしょう。1&2戦で優勝したスティーブ・ピートが絶好調のまま3戦も奪取か?と思いきや、カナダでクラッシュ→肩骨折と早々にシーズンを棒に振ってしまい、総合の行方はどうなることやら。

 それにしても、カナダのレポートに出てくるシュマス・マーチは痛すぎ! デュアル予選でナックナックを決め損なって、ペダルを踏み外したまま着地!と同時に足首粉砕骨折、昔のビデオ映像そのままのスタイルは嬉しいけど少し体を労って欲しいです。レポートにはカーター(デュアル2位)のインタビューも加わって、ファイナルで戦ったブライアンとのレースを振り返っています。スタートから5秒で勝負が決まる中で、ブライアンに先行されたら、彼がジャンプ寸前に僅かにブレーキをかけるポイントで勝負する、とエリックは決めていたらしい。でも、ファイナルでブライアンはノーブレーキで進入し、隙を与えなかったとか。

 UK国内に目を向けると、BSXの盛況ぶりも詳しくレポート。ここではレース・レポートよりもBSXトラックのビルダーをしているリック・フォートのインタビューが良い。dirtに限らず外国誌には「裏方さん」のインタビューが時々載っていて、競技(に限ったことではないが)を全員で盛り上げようとしている姿が伝わってきます。

NOV/DEC '01
 様々な意味から記憶に残る世界戦となってしまったVAIL。「September-11」と重なったことで選手の参加問題だけではなく、開催すら危ぶまれたのはご存じの通り。そんな最悪の状況で勝ったのはニコとアン・カロの二人、鉄板なように見えて一発勝負の世界戦を獲るのは並大抵のことではないでしょう。余談ながら、この年のWCでは予選タイムと順位に応じてポイントが加算される方式が導入されたこともあって、最終戦に総合優勝の望みをつないでいたニコも、グレッグ・ミナーの走りには敵いませんでした。そんなわけで、ニコは「世界選を絶対に獲る」と思っていたようです。

 ジュニア女子に目を向けると末政選手が初優勝。日本での知名度とは裏腹に、外誌では新鋭扱いなんですが、結果を出せば1ページ丸ごと使って紹介されてます。また、レースとは直接関係ないけど、ナイジェル・ペイジがマイク・ロニングに宛てた手紙(?)が何とも言えず「いい味」出しています。“結構近い”ように思えて、車での移動は大変だよな…。あと、WCアライのレポートがすっぽり抜け落ちているのは日本人としてちょっと…。

 その他、Vegasインターバイクのレポート有り。出品者の詳細情報はURLを記載することでカバーするというのは、上手い(?)やり方だと思う。余談ながら、24SEVENBIKES.comの広告が面白くて「Winter Training Starts Here...」というコピーと共に同社の製品が紹介されています。楽しむことに「オフシーズン」はない!