JAN/FEB '02
 時期的にレースレポートが少な目になっている反面、スポンサーがらみ(?)のパーツ、フレーム特集がメインとなってます。紹介されているメーカーは多いのですが、個人のアイディアが主体となっているため会社の規模は大きくないようです。中でも大きく取り上げられているのは、往年の有名工房であるPashleyが発表したTVシリーズでしょう。使用する車輪の直径によって、26Mhz(デュアル用)、24Mhz(ジャンプ用)という車名がつけられており、各種取り揃えてあります。イギリスではPashleyの他にも、Revell、24seven、DMRといったクロモリ製ハードテイルが数多く販売されていることから、後発として参入するため製品の品質にかなり気を遣っているそうです。ちなみにフレームパイプにクロモリを選択する理由は、云うまでもなく(例えばジャンプ失敗した時の)破損・破壊が起こりにくいからだとか。

 この他、フレームの特集ではサンタクルズV10も興味深いです。フレームとは直接関係ないものの、試乗車のフォークには例のボクサーが使用されていて目を引きます。レポートによると、一応、市販発売する予定があったけど、一般ルートの受注では加工を発注するほど数がまとまらなくて断念したようです。しかし、サンタクルズ社が独自にオーダーをかけて自社分として確保したものが存在するとか。フリクションが劇的に低くなっているらしいです…。

 ニュース欄で、ブライアン・ロープスがFOXのフォークを使うことになったこと、前年のイギリス・DH
チャンピオンはロブ・ワーナー(意外)だったこと等が紹介されています。

MAR/APR '02
 いろいろ噂が流れていましたけど、自らのチームを立ち上げてWC等を転戦することとなったスティーブ・ピートのインタビューが大々的に掲載されています。彼がアメリカを拠点としたGTを離れ、拠点を母国に移して自らのチームを立ち上げる詳しい経緯などは、読解力不足のため読みとることは出来ませんけど、GTのような大きなチームだとスティーブ自身や、彼と個人的なつき合いのあるスタッフ(特にメカニック)ですら一つの歯車に過ぎず、いろいろと気苦労が絶えなかったようです。例のテロ事件を境に、こうした現状をふまえて自分の時間や生活を見直したくなったのではないでしょうか。その解決方法として、自分のチームという結果に繋がったと思います。

 使用機材をみると、フレームはイングランドの自宅から近いOrange、フォーク&ショックは実績のあるRockShox、各種パーツ類はUKブランドを出来る限り採用するという、彼自身の意志が明確に反映されています。このインタビューが行われている時点で、すでに数種類のフレーム(ジオメトリーが異なる)、ブラックボックスのノウハウが投入されたフォークなどのテストがUK内で繰り返されているらしく、今年も万全の体制でレースに望めるようです。余談ながら、これらは某チームで昨年に大きな成果を上げていることもあって、そのノウハウが充分に活用できるという利点も大きいようです。

 その他ではCurtis Bike訪問、「日本探訪」など。後者は変な仕上がりですけど…

MAY/JUN '02
 表紙に珍しくBMXレーサーであるデール・ホームズが登場、そのままの勢いで(?)裏を見れば24-7の広告写真が破壊的な雰囲気を醸し出しており、今年も“dirt magazine”は健在ッス。まずは、メインの紹介として“Sea Otter 2002”と行きたいところだけど、ちょっとパワーダウンした内容&メジャー大会ということで中略。

 今号で面白いのは、昨年もバーミンガムで開催された“Bike 2002”のレポート。今年はバイヤー向けのショーとBSXを同時開催されてます。招待選手を見れば、相変わらず国内のMTBとBMXで活躍する選手を全員集合させて、No.1を決めるのかと言うくらい豪華メンバーばかり、ストレートに凄いです。肝心のレースは1日あたり6レース開催し、3日間通した全日程の獲得ポイントによって勝者が決定されるというタフなもの。レポートを読むと、中日くらいから結構荒れ模様のレースがでてきて、けが人や自転車破損なども続出したようです。総合勝者はKONAに乗ったスコット・ボーモントが、どのレースも安定した走りで獲っています。

 その他の特集としては、読者投稿風にレポートされた「終わらない夏・ニュージランド篇」が目新しいです。オーストラリアは、グレン・ジェコブスや活躍するDH選手の影響からチラホラ目にするものの、ニュージランドは珍しい。01年のNORBA(DH)を獲ったJohn Kircaldieは同国出身なんですね。考えてみれば、南半球出身だと「オフシーズン」に故郷へ戻れば一年中乗れるわけか、まさに“endless summer”だ…。

JUL/AUG '02
 WC開幕戦がスコットランド(一応、陸続き)となり、レース特集が内容の濃いレポートに仕上がっています。今年の目玉は云うまでもなく4Xでして、その開幕戦ともなれば試行錯誤の連続だったらしい。詳しい話は省略しますが、スタートゲートの倒れ方や、タイミング、コース内容等々、選手の好みも様々のようです。肝心の初代優勝者はグラシアに決定、パーティ風景を見ると、久しぶりの優勝と相まって凄い騒ぎだったんだろうなと。

 DHではスッキリしない天気に振り回されて、選手とメカニックは対応が大変だったようです。この号には同時収録として、このWCが始まる直前に行われた国内選手権(同じスコットランド開催)が特集されており、このレースにおけるプロクラス上位者は、そのままWC入賞者と言っても良いくらい。やはり事前に準備を重ねて環境に慣れておくのは、大きく効いているようです。余談ながら、DH国内選手権のジュニアを見るとマーク・ボーモントがかなり良い走りだったとか、Nextピートって感じですか。話を元に戻して、WC特集を読んでみると、選手が自分のセッティングについて語る項目があって、多くの選手が「渡された機材をそのまま使う」とコメントしています。

 その他、元BMXレーサーであるMartin Murrayのインタビューはかなり骨太の仕上がりです。時々誌面に登場する顔とレーシングスタイルが「厳つい」人ながら、そんな事とは裏腹に彼のBMXにかける思いが誌面から伝わってきました。

SEPT/OCT '02
 レースシーズン真っ直中ということもあり、多くのレポートが収録されています。今回注目したいのは、UKで行われているBSXのレポートでしょう。BSXの国内選手権の模様、もう一つが特別開催のNational Adventure Sports Showの模様で、後者の通称は略してNASSとなるらしいのですが、編集者の好みで(?)dirt風に呼ぶとNational Assとなるらしい。ちょっと禁止用語スレスレな気も…

 国内選手権は細かなリザルトは分かりませんが、画像を見る限り結構エグイ走りする人いるみたいです。もう右肩押さえて蹲っている人や、マーティン・マーレイのように接触ギリギリ(と言うか当たっている)で突っ込む人など、賞金が良いレースと言うこともあって皆さん目の色が変わってます。また、NASSの模様を読むと、国内選手権とは異なりBMXと同時開催されているため、デール・ホームズ位の大物になるとBMXとBSXの両方に出場し、両方とも総合優勝をさらっているじゃないですか、本当にタフな選手です。

 その他、DMRのロードトリップも文章量は多いけど内容充実で読み応えがあります。DMRは日本の代理店が出来たこともあって、日本でも知られるようになったブランドの一つです。このトリップにはスプラングのカメラマンも同行し、アンダーグランドなジャンプ風景を収録しているそうで、近日中にこの模様が映像化されるのではないでしょうか。また、WCの模様を読むと、
前半戦の山場を迎えています。このまま、UKの悲願に向けて突っ走るのか!

NOV/DEC '02
 もう表紙の写真に尽きるでしょう! ユーロ諸国に限ったことではありませんが、国別の対抗意識が強いなかで初めて自国出身のライダーがタイトルを獲得したこともあり、dirtの中身もそれ一色となっています。

 今号では、世界選手権(オーストリア)とWC最終戦(フランス)の模様を収録。今年の序盤〜中盤はコヴァリックが好調だった上、鉄板レーサーの代名詞であるニコとミナーが怪我で不調と言った風に、良い感じで混迷気味だったと思います。ところが終盤にきてピートが頭一つ抜けてきたというか、好調を維持したまま終盤に突入してきたわけで、これは期待するなという方が無理です。個人的な意見なので「何」なんですが、ピートのレース風景を見ていると、どうしてもレース以外のパフォーマンスに目が行ってしまい、リザルトを追求するよりはライディングそのものを楽しんでいるような趣味人癖(?)が抜けないな、と思っていたんですけど、この2戦に掛ける意気込みはもの凄いものがありました。実をいえば世界選手権(8月末)の時点で、WCの大勢はピートのタイトル獲得で決まりつつあったこともあり、もし世界選手権を獲ればピートは2冠達成にグッと近づくはずでした。しかし、それを阻止したのは、またしても…。

 その他、必見なのは彼のスペシャルバイク(Orenge 223)特集です。メカニックが丹誠込めて組み上げた感じが伝わってきて、ナイス!